「意見広告とは?意味や目的を知りたい」
「意見広告を載せるべき場所とは?」
日本ではあまり馴染みのない意見広告ですが、近年では民間企業が掲出する例も増えています。
今回は、意見広告の意義や目的のほか、意見広告の掲出に用いられる媒体について、実例をもとに解説します。また、意見広告を掲出する際に注意すべきポイントも解説します。
この記事を読んで意見広告の基本を理解し、意見広告を正しく受信・発信できるようになりましょう。
1. 意見広告とは?
意見広告は、特定の主義・思想に基づき、社会的なテーマや課題に対しての立場を明確にし、そのメッセージを大衆に伝えることを目的とした広告です。売上や利益の追及を目標としていない点で一般的な商品広告と大きく異なります。
従来は、意見広告といえば政治・経済団体や市民団体が、主に新聞を通じて発信することが一般的でした。しかし今日では、民間企業がインターネット等のさまざまな媒体で意見広告を掲出することも増えています。
民間企業が意見広告を発信することは、社会的な課題・問題に対してもっている考えや取り組みを広告として表現し、消費者やステークホルダーとの信頼関係を築くうえで大きな意味をもちます。
結果として、民間企業による意見広告の発信は、企業のブランドイメージの向上や、社会的責任を果たす姿勢をアピールすることにもつながります。
意見広告は、単なる情報伝達の手段ではなく、社会の意識を変える力をもつコミュニケーションツールとしての側面もあります。そのため、掲載する内容の選定や、どのようにメッセージを伝えるかという点には、非常に高いセンスと責任が求められるのです。
2. 意見広告に用いられる媒体
意見広告は、大衆に広く伝達されることが何より重要であるため、主に新聞等のマスメディアを介して発信されます。もっとも、メッセージの内容やターゲットの属性に応じて、以下のような様々な媒体で発信が行われています。
- 新聞
- インターネット
- テレビ
- その他の媒体(雑誌・折り込みチラシ・ビラなど)
(1)新聞
新聞は意見広告の掲載媒体として最も一般的であり、一度の掲出で多くの人々に広く訴求することが可能です。新聞は紙面が大きいため、情報量が多く、詳細な内容や主張を伝えることに適しています。全国紙に意見広告を掲出すれば幅広い層にアプローチでき、地方紙や特定の業界に特化した専門紙に掲出すれば、ターゲットに対して効果的なリーチを期待出来ます。
(2)インターネット
近年ではインターネットも意見広告の掲出先として注目されています。
例えば、Yahooや楽天などの大手プラットフォーム事業者は、自らのポリシーや取り組みを表明するため、自社のウェブサイトに意見広告を掲載したことがあります。Yahooは外部からの意見広告掲出も認めており、規程やガイドラインに従えば誰でも意見広告を掲出することが可能です。
【参照:意見広告 – Yahoo!広告ヘルプ】
(3)テレビ
意見広告にテレビを利用すれば、視覚や音声を活用し、動的に意見・主張を伝えることが可能です。
しかし、放送時間は限られているため、伝えられる情報の量には制限がある点に考慮しなければなりません。
日本においては意見広告をテレビで放映することはあまり一般的ではなく、主に政党のコマーシャルや公共広告(AC)が行われている程度にとどまっています。
(4)その他の媒体
その他に意見広告が掲載される媒体としては、雑誌や折り込みチラシ・ビラなどが挙げられます。
雑誌は特定の趣味や興味をもつターゲット層にピンポイントで訴求でき、折り込みチラシ・ビラは特定の地域やコミュニティを対象にした意見広告を展開する際に有効な手段となります。
3. 意見広告の実例5つ
以下からは、実際に意見広告が出された実例5つについて、広告主や広告目的、掲載場所などを詳しく紹介します。
- 日本医師会による意見広告
- 獺祭による意見広告
- 宝島社による意見広告
- タワレコによる意見広告
- 日本教職員組合による意見広告
(1)日本医師会による意見広告
引用:日本医師会の意見広告・ポスター – 日本医師会
日本医師会では、医療的見地に基づき、定期的に啓蒙広告を全国紙・地方紙に掲載しています。
例えば、2023年2月に読売新聞に掲載した広告では、医療機関・介護施設等では引き続きマスクの着用を心がけるよう訴えかけています。
(2)獺祭による意見広告
引用:日経新聞で5月24日に意見広告を出します – 旭酒造株式会社
日本酒「獺祭」で有名な旭酒造株式会社は、2021年5月、日経新聞紙上に意見広告を掲載しました。
主な内容としては、新型コロナウイルス感染症対策のため政府が推進した時短営業により、全国の飲食店が壊滅的な打撃を受けているため、経済を守るためにも意味のある制限策を見直して欲しい、というものでした。
(3)宝島社による意見広告
引用:企業広告 – 宝島社
出版社の宝島社は、毎年、全国紙にユニークかつインパクトの強い広告を掲載しています。
例えば、2023年は団塊の世代を元気づけるもの、2022年はジェンダー問題に切り込んだ内容でした。
(4)タワレコによる意見広告
引用:NO MUSIC, NO LIFE. – タワーレコードオンライン
意見広告として特殊な例ではありますが、タワレコの愛称で親しまれるタワーレコード株式会社では、音楽そのものを応援することを目的に、ポスターによる意見広告を発信しています。
黄色地に赤文字で書かれた「NO MUSIC, NO LIFE.」というポスターを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
(5)日本教職員組合による意見広告
引用:長時間労働是正にむけて新聞意見広告を掲載 – 日本教職員組合
全国の公立小中高校教員・職員で構成される日本教職員組合は、2023年4月、教員の長時間労働問題に関する意見広告を首都圏3紙に掲載しました。
このように、労働組合や業界団体が代表となり、加盟者・団体の意見を代弁して広く大衆に訴える意見広告は、現在でも多く掲載されています。
4. 意見広告を出す際の注意点
意見広告を掲載する際には、その独特の性質上、いくつかの注意点を念頭に置いて行動することが求められます。以下からは、特に注意が必要な点をいくつか紹介します。
新聞などのメディアに掲出する際には、掲出先の規定やガイドラインを必ず確認しましょう。
(1)意見広告であることを明記する
意見広告を掲出する際は、読者や視聴者が商業広告と誤認することを防ぐために、掲載内容が意見広告であることを明確に表示することが重要です。例えば、広告のタイトルや見出し部分に『意見広告』という言葉を入れることで、他の一般的な広告との差別化を図り、混同を避けるようにしましょう。
(2)一方的な攻撃や誹謗中傷をしない
意見広告は、特定の考えや思想を伝えるものですが、その内容が一方的な攻撃や誹謗中傷と受け取られる可能性がある場合、団体や企業のイメージ損傷にもつながる恐れがあります。また、法的なトラブルを招くリスクも無視できません。
そのため意見広告の内容は、読者や視聴者が自ら考えるきっかけを提供するスタンスを保ち、あくまで「投げかけ」の形にとどめることが望ましいといえるでしょう。
(3)連絡先を明記する
意見広告には、時に賛同や反対といった反応が寄せられることがあります。その際、読者や視聴者が直接広告主に連絡を取ることができるよう、連絡先を明確に掲載することが重要です。
これにより、メディア側にクレームや問い合わせが集中することを避けることができ、広告主自身が読者や視聴者の意見や感想を直接受け取ることができます。
民間企業も意見広告を発信する時代に
この記事では、意見広告の意義や掲載媒体、過去の実例などを紹介しました。
従来は意見広告といえば政治的・経済的思想をもった非営利団体が行うもの、というイメージが一般的でしたが、現在では企業の社会的責任として意見広告を発信する民間企業も増加しています。
意見広告の掲載媒体も変化しつつあり、今後はインターネットでの掲載や、屋外広告を用いた掲載例が登場する可能性もあります。
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