広告運用・マーケティング

OMOとは?O2Oやオムニチャネルとの違いは?具体例を挙げて解説

「OMOってそもそも何?具体的な事例を知りたい」
「O2Oやオムニチャネルとの違いとは?」

OMO(Online Merges with Offline)は近年注目されているマーケティング戦略のことで、インターネット・スマートフォンが普及したアフターデジタル時代のスタンダードとなりつつあります。

今回は、OMOの概要やO2O・オムニチャネルとの違いについて分かりやすく解説します。また、OMOを導入するメリット・デメリット、OMOの具体的な活用事例も詳しく解説します。

この記事を通して、OMOの基本から応用まで一通りの知識を押さえておきましょう。

1. OMOとは?O2Oやオムニチャネルとの違いは?

はじめに、OMOの概要について解説します。OMOとよく似た概念にO2Oやオムニチャネルがありますが、厳密には異なる戦略なので、しっかりと違いを意識しておきましょう。

(1)オンラインとオフラインを越えたマーケティングのこと

OMO(Online Merges with Offline)は、直訳すると「オンラインとオフラインの統合」を意味し、2017年ごろから中国系ベンチャーキャピタルで用いられるようになった言葉です。

基本的に、OMOはデジタル技術を用いてオフラインの体験を強化し、両方の世界をシームレスに融合させるマーケティング戦略のことを指します。

例えばリテール業界では、顧客がオンラインで商品情報を検索し、その後店舗で物理的に商品を確認・購入するモバイルオーダーや、実店舗でのキャッシュレス決済の導入などの施策が行われています。

OMOの実施により、顧客のニーズに合わせてパーソナライズされた体験を提供できるため、顧客満足度の向上を目指す企業戦略の一環として注目されています。

(2)O2Oとの違い

O2O(Online to Offline)は、主にインターネットを介して実店舗での購買行動を促すことを指します。例えば、オンライン上でクーポンを配布し、それを利用して実店舗で購入させるというような形態です。

これに対してOMOは、単にオンラインからオフラインへの一方向の流れではなく、オフラインからオンラインへの流れも含め、よりダイナミックな相互作用をもつことが特徴です。OMOでは、顧客の体験を最優先し、オンラインとオフラインの境界をあいまいにして、全体的な顧客体験を向上させることに重点を置いています。

(3)オムニチャンネルとの違い

オムニチャネルは、あらゆる販売チャネルを活用し、顧客にさまざまな購買体験を提供することを目的としています。例えば、実店舗・オンラインストア・アプリ・テレビショッピングなどの販売チャネルが活用されています。

オムニチャネルでは、比較的、顧客の購買行動に主眼が置かれています。具体的には、オンラインストアで購入した商品を実店舗で受け取ったり、実店舗とオンラインストアで共通のポイントを溜めることができるといった点です。

一方、OMOでは、購買行動を含めた顧客のあらゆる体験(ユーザーエクスペリエンス)を向上させることに主眼を置いています。例えばOMOには、キャッシュレス決済の導入により購買時のストレスを軽減するなどの施策も含まれます。

オムニチャネルが企業側の視点に立って消費者の購買行動を促す戦略であるのに対し、OMOはより消費者の視点に立っており、認知からアフターフォローまでのすべての顧客体験を向上させるものである点で両者の違いがあるといえるでしょう。

2. OMOの活用事例3つ

ここまでは、OMOの概要について紹介しました。少し分かりにくい概念であるため、実際の事例を見ながら理解を深めていきましょう。以下からは、主なOMOの活用事例を3つ紹介します。

OMOの活用事例3つ

  1. モバイルオーダー・テーブルオーダー
  2. モバイルペイメント
  3. チャットボット

(1)モバイルオーダー・テーブルオーダー

顧客がスマートフォンを使って商品を注文し、店舗で提供を受け取るモバイルオーダーシステムは、OMOの典型的な活用例の一つです。

モバイルオーダーシステムの導入により、顧客体験の向上とオペレーション効率化を期待できます。例えば、飲食店で顧客がモバイルアプリを使用して食事やドリンクを注文し、注文された商品がテーブルまで運ばれるテーブルオーダーシステムを導入することで、注文プロセスが迅速化され、顧客は待ち時間を減らすことができます。

また、店舗側は顧客の好みや注文履歴をデータベースに蓄積することができ、将来のマーケティング活動やサービス改善に活用することも可能です。

(2)モバイルペイメント

店舗での商品購入時にスマートフォン決済を利用するモバイルペイメントの導入も、OMOの重要な活用例です。

このシステムを利用することで、キャッシュレスでスムーズな支払いができ、決済の手間が省けるだけでなく、店舗側は顧客の購買データを収集し分析することが可能になります。

顧客の購買データは、顧客の購買傾向を理解し、パーソナライズされたプロモーションやサービスを提供するために活用することが可能です。また、モバイルペイメントの利便性は顧客満足度を向上させる要因となり、リピート率の向上にも寄与します。

(3)チャットボット

オンライン上でのチャットボットの活用も、OMO戦略の一環として注目されています。チャットボットは、顧客からの問い合わせにリアルタイムで対応することで、顧客サービスの質を向上させます。

例えば、オンラインでの商品選びに関する質問や、オフラインの店舗訪問前の予約に関する問い合わせなど、幅広いニーズに対応することが可能です。また、購入後の顧客サポートを強化することもできます。チャットボットは24時間365日対応可能であり、顧客がいつでも必要な情報を得ることができるため、顧客満足度の向上に大きく貢献します。

さらに、チャットボットから収集される顧客の問い合わせデータは、サービスや商品の改善に役立てることができます。

3. OOHを利用したOMOの活用事例3つ

ここまで紹介した活用事例は、OMOの代表的な施策ではありますが、導入に比較的コストがかかるというデメリットがあります。

そこでおすすめしたいのが、OOH(Out Of Home)広告の活用です。OOH広告からWebサイトへ誘導したり、SNSでの『バズ』を狙うことで、オンラインとオフラインの垣根を超えたプロモーションを実施できます。

以下からは、ピールオフ広告(ポスターや壁面広告に、簡単に剥がせるグッズ等を貼り付けた施策)を用いた活用事例を3つ紹介します。

OOHを利用したOMOの活用事例3つ

  1. 付箋を用いた事例
  2. ステッカーを用いた事例
  3. サンプルを用いた事例

(1)付箋を用いた事例

Netflix Japanが実施したこちらの事例は、SNS上で『#どうして私は韓ドラにハマるのか』というハッシュタグをつけた投稿を募集し、その投稿を付箋に印刷してポスターに貼り付けるというものです。

SNSを通じて双方向のコミュニケーションを実現しているだけではなく、俳優による直筆のメッセージを紛れ込ませたり、AR技術を組み合わせたりすることで、さらに訴求力を高めている点にも注目です。

(2)ステッカーを用いた事例

こちらは、東海・中部エリアで不動産管理・仲介業を行っている企業が、同じく東海・中部エリアを中心に活動している著名YouTuberとのコラボ企画として行った施策です。

名古屋駅構内に架空店舗を模した大型のOOHを展開し、各メンバーと名刺交換ができるようなギミックで名刺型ステッカーの配布を行いました。事前告知がなかったにもかかわらずSNS上で話題となり、2日間で計1800枚が午前中にはすべて剥がされる盛況ぶりとなりました。

(3)サンプルを用いた事例

こちらは、化粧水と美容液のサンプルをピールオフ広告として配布した事例です。

一般的に、サンプリングは店舗への設置や街頭での配布、DMへの同封といった方法で行われますが、こちらの事例ではOOH広告と組み合わせることにより、よりSNSでの拡散や見込み顧客への強い訴求を可能にしています。

4. OMOが生まれた背景

OMOという言葉自体は比較的最近登場したものですが、OMOのニーズ・必要性は急速に高まり続けています。以下からは、OMOが生まれた背景、普及した背景について解説します。

(1)キャッシュレス決済の普及

OMOの登場に大きく寄与したのが、キャッシュレス決済の普及です。

スマートフォンの広がりとともに、キャッシュレス決済の利用が急速に広まったことで、消費者はよりスムーズでシームレスなショッピング体験を享受することができるようになりました。

日本は比較的キャッシュレス決済の普及率が低いものの、2016年~2021年の5年間でキャッシュレス決済比率は10%以上上昇するなど、今後さらに普及率が高まることが想定されています(参照:キャッシュレス・ロードマップ2022 – 一般社団法人キャッシュレス推進協議会)。

(2)オンラインサービスの浸透

オンラインサービスの広がりにより、ショッピングだけでなく、エンターテイメントや情報収集など、日常生活の多くがオンライン化しています。そのため、消費者はオンラインで情報を収集し、オフラインでの購買や体験を行うという行動パターンを自然に取り入れるようになりました。

むしろ、オンラインとオフラインが断絶している状況、例えば実店舗でのみ現金を使うことや、実店舗でなければ商品を購入できないことに対し、強い拒否感を覚えるようになっています。

このように、オンラインサービスの隆盛は、オフラインの世界をオンライン側に引き付ける結果となったのです。

(3)M1層・F1層の世代交代

比較的トレンドに敏感であり、購買意欲が高いM1層(男性・20~34歳)、F1層(女性・20~34歳)の世代交代も、OMO台頭の要因といえるでしょう。

現在のM1層・F1層は、デジタルネイティブのZ世代・X世代であり、物心ついた時からオンラインショッピングやデジタル技術に親しんでいます。そのため、OMO戦略との親和性が非常に高く、オンラインとオフラインの境界なく、複数のチャネルを通じて情報を収集し、購買を行うことに慣れています。

OMO戦略はこの新しい消費者層に対して非常に効果的であり、この世代にアピールしたい企業にとってOMOは不可欠な施策といえるでしょう。

5. OMOのメリット3つ

ここまでは、OMOの概要や背景について解説しました。以下からは、OMOの主なメリットを3つ紹介します。

OMOのメリット3つ

  1. 顧客ニーズを正確に把握できる
  2. 顧客満足度が向上する
  3. ブランドのファンを獲得できる

メリット1. 顧客ニーズを正確に把握できる

OMOの最大のメリットは、顧客ニーズを正確に把握できることです。

オンラインとオフラインのデータを統合することで、企業は顧客の振る舞いや好みをより詳細に理解することができるため、企業は顧客の具体的なニーズに合わせた製品やサービスを提供できるようになります。

例えば、オンラインでの検索行動や購入履歴、オフラインでの店舗訪問頻度や購入傾向など、さまざまなデータを組み合わせることにより、顧客一人ひとりに最適な商品やサービスを提案することが可能です。これにより、顧客の満足度を高め、長期的な関係を築くことができます。

メリット2. 顧客満足度が向上する

OMOのもう一つの大きなメリットは、顧客満足度の向上です。

オンラインとオフラインのシームレスな購買過程により、顧客はより便利でパーソナライズされたショッピング体験を享受することができます。また、オンラインでの情報収集とオフラインでの物理的な商品体験が融合することで、消費者は購買過程全体を通じて快適さを感じられます。

企業側は、顧客のフィードバックをリアルタイムで収集し、サービスの改善に活用することができるため、顧客側はさらに自分のニーズが理解・尊重されていると感じ、より満足した購買体験を得られるのです。

メリット3. ブランドのファンを獲得できる

OMOを通じて提供される購買体験は、顧客に深く・良い印象を残します。そのため、ブランドへのロイヤルティが高まり、長期的なファンを獲得する基盤を築くことができます。

顧客がブランドに対して肯定的な体験を持つことで、口コミやソーシャルメディアを通じた自然な推奨が促され、ブランドの認知度や信頼性向上にも繋がります。

つまりOMOは、既存顧客の維持だけではなく、新規顧客の獲得にも大きく貢献し、長期的なビジネス成長をもたらすのです。

6. OMOのデメリット3つ

OMOは顧客側・企業側の双方に大きなメリットをもたらす一方、いくつか注意すべきデメリットもあります。以下からは、OMOがもつデメリットを3つ紹介します。

OMOのデメリット3つ

  1. ビジネスモデルに向き不向きがある
  2. UIやDBの構築にコストがかかる
  3. 長期的な視野が必要になる

デメリット1. ビジネスモデルに向き不向きがある

OMO戦略はすべてのビジネスや業界に適しているわけではありません。

例えば、高度なカスタマイズが必要な商品やサービス、非常にニッチな市場を対象とする事業、または手作業による個別対応が重要なビジネスでは、顧客層が限られ、消費サイクルも短いため、顧客との直接的な対話や個別のニーズ対応が重要となり、顧客との深い関係構築や直接的なやり取りに重点を置いた戦略がより効果的です。

一方で、幅広い顧客層に向けた一般消費財や、デジタル技術を駆使したサービス提供が可能な業種では、OMOが有効です。

OMOの導入を検討するにあたっては、ビジネスモデルや市場の特性を正確に理解し、導入の是非を判断することが重要です。

デメリット2. UIやDBの構築にコストがかかる

OMOを実現するためには、オンラインとオフラインの統合を可能にする高度な技術システムやデータベース(DB)の開発が必要です。

これには大きな初期投資が必要であり、さらに継続的なメンテナンスやアップデートにもコストがかかります。ユーザーインターフェイス(UI)の設計、データの収集・分析・保管のためのデータベースシステムの構築など、これらには専門的な知識とリソースが必要です。

特に中小企業やスタートアップにとって、これらのコストは大きな負担となりえます。そのため、OMO戦略の導入を検討する際には、コストとリターンのバランスを慎重に評価する必要があります。

デメリット3. 長期的な視野が必要になる

OMO戦略は短期間での成果を期待するのではなく、長期的な視野に立って顧客関係構築やブランド価値の向上を目指す戦略です。したがって、短期的な利益を追求するビジネスモデルには適していません。

OMO戦略の効果を最大限に発揮するためには、顧客との関係を長期にわたって築き、維持していく必要があります。これには時間と努力が必要であり、短期間での売上や利益の増加を主な目標とするビジネスにとっては、OMO戦略の採用が難しい側面があります。

長期的なブランドの成長と顧客ロイヤルティの構築を目指す企業にとっては、OMOは効果的な戦略ですが、即効性を求める場合には異なるアプローチが必要になるでしょう。

長期的な目線でアフターデジタルにも取り組もう

今回は、OMOの概要やメリット・デメリット、具体的な活用事例について紹介しました。

OMOはアフターデジタル社会のスタンダードなマーケティング戦略であり、特にリテール業や飲食店にとっては不可欠な施策となりつつあります。一方で、導入にはコストが必要であり、短期的な成果は期待しづらいなどのデメリットもあります。

そのため、伝統的なマーケティング戦略とも組み合わせながら、長期的な視点でOMOを導入していくことが重要です。

国内最大級の広告プラットフォーム『オーマッチ』では、18万件以上の屋外広告媒体を仲介手数料無料でご案内しております。専属サポートも無料でご提供しておりますので、屋外広告の出稿をご検討中の方はこの機会にぜひ一度お問い合わせください。

国内最大級の屋外広告プラットフォーム

18万件の広告枠を掲載中

ご利用は完全無料

専属サポートにも対応