「メディアプランニングのやり方とは?」
「OOHのメディアプランニング手法を知りたい」
広告効果を高めるため、メディアプランニングを検討中の方はいませんか?メディアプランニングは、広告キャンペーンを計画的に進め、効率的なPDCAサイクルを回すためにも不可欠な要素です。
今回は、メディアプランニングの概要や必要性、具体的な手法について解説します。また、OOH(Out Of Home)広告におけるメディアプランニングの流れも紹介します。
この記事を通じ、メディアプランニングの基本的な知識や実践的な手法を学んでいきましょう。
1. メディアプランニングとは?
メディアプランニングとは、広告キャンペーンの目標を達成するために、最も適切なメディア(広告媒体)を選択し、配信するタイミングや方法を計画するプロセスのことを指します。
メディアプランニングの主な目的は、特定のターゲットオーディエンスに対して、最も効率的かつ効果的に広告を届けることです。例えば、屋外広告、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、オンラインメディア、ソーシャルメディアなど、様々な広告媒体の中から最適なものを選び出し、広告のリーチ(到達範囲)と頻度を最大化する戦略を立てることが含まれます。
メディアプランを明確にし、広告の目的とメッセージに合ったメディアチャネルを選定して総合的なキャンペーンを展開することで、広告の投資利益率(ROI)を高め、ブランド認知度の向上や売上の増加などの目標を達成しやすくなります。
メディアプランニングは一度行えばいいものではなく、市場の変化や消費者の行動に基づいて柔軟に調整する必要があるため、定期的な評価と最適化も必要です。
2. メディアプランニングの必要性
メディアプランニングは、目先の広告キャンペーンを成功させるためではなく、長期的な広告戦略を組み立てるうえでも不可欠な要素です。以下からは、メディアプランニングの必要性について詳しく解説します。
- 広告キャンペーンを計画的に進めるため
- オーディエンスセグメーションを実現するため
- 今後の広告キャンペーンに活かすため
(1)広告キャンペーンを計画的に進めるため
メディアプランニングの最も重要な目的の一つは、広告キャンペーンを計画的に進めることです。
広告キャンペーンの目的と目標に基づき、どのメディアチャンネルが最も効果的か、いつ広告を配信すれば最大の効果が得られるかを戦略的に決定することで、予算の適切な配分、ターゲットオーディエンスへの最適なアプローチ、広告の効果の最大化が可能になります。
(2)オーディエンスセグメンテーションを実現するため
メディアプランニングは、さまざまなオーディエンスグループに適したメディアチャネルを選定し、ターゲットごとにカスタマイズされたメッセージを伝えるためにも必要です。
例えば、若年層にリーチするためにはソーシャルメディアを、ビジネスパーソンにアプローチするためには新幹線広告、タクシー広告、空港の広告媒体を利用するなど、ターゲットに最適なメディアを選択する必要があります。
メディアプランニングによりメッセージのパーソナライゼーションを実現することで、より強いエンゲージメントを生み出すことが可能です。
(3)今後の広告キャンペーンに活かすため
メディアプランニングは、過去のキャンペーンから得られたデータや結果を分析し、将来のメディア戦略をより効果的に行うためにも重要です。
キャンペーン実施後のデータ収集と分析を通じて、どのメディアが最も効果的であったか、どのようなメッセージがターゲットオーディエンスに共鳴したかなどのデータを得ることができます。
これらの情報は、今後のキャンペーンの計画において貴重な指針となり、継続的な改善と効果の最大化に役立ちます。メディアプランニングにおいては、常に市場の変化や消費者の行動を踏まえた柔軟な対応が求められます。
3. メディアプランニングに重要なスリーヒッツ理論とは?
メディアプランニングを行う上で知っておきたい重要な理論として、『スリーヒッツ理論(Three Hits Theory)』があります。
これは、広告は受け手が3回接触して初めて効果を発揮するという消費者行動のことであり、1回目の接触で注意を引き、2回目で興味を喚起し、3回目で購買行動に結びつく、というのが基本的な考え方です。
もっとも、必ずしも『3回』が常に最適解というわけではなく、購買行動を促すヒット数は製品・サービスによって異なります。しかし、「購買行動を促すためには複数回のヒット数が必要であること」を理解し、そのうえで、購買行動を促すためには何ヒット必要なのかを把握できれば、メディアプランニング戦略を立てる際に非常に役立ちます。
例えば、自社の製品・サービスの訴求に5回のタッチが必要であれば、屋外広告で2回、TVCMで2回、Web広告で1回、といったように、具体的なメディア選択が可能となります。さらに、「屋外広告に2回接触させるためにはどの場所に掲出するべきか」といった、個別の戦略も立てられるようになります。
4. メディアプランニングの全体像
メディアプランニングは、広告キャンペーンを成功に導くための重要なプロセスであり、いくつかの重要なステップから成り立っています。以下からは、それぞれのステップで行うべき具体的な内容について解説します。
- 目的の設定
- 予算の設定
- セールスポイントの分析
- ターゲットの選定
- メッセージの設定
(1)目的の設定
メディアプランニングを始めるにあたって、まずは広告キャンペーンの主要目的を明確に定義することが重要です。目標の具体例としては、ブランド認知度の向上、リードの獲得、売上の増加などが挙げられます。
目的によって使用するメディアチャネルやメッセージングの戦略が変わってくるため、この段階でしっかりと明確な目標を掲げるようにしましょう。
(2)予算の設定
メディアプランニングでは、予算設定が広告キャンペーンの成功に直結する重要な要素となります。
予算決定プロセスでは、広告の目的、ターゲットオーディエンス、期待される成果に基づいて資金を割り当てます。この際、CPA(Cost Per Acquisition)や増分CPAを考慮しましょう。
CPAは、1件のコンバージョン(顧客獲得や製品購入)を獲得するために必要なコストのことです。予算を決定する際には、期待されるコンバージョン数と目標CPAを基に、全体の広告予算を算出します。これにより、キャンペーンが経済的に実現可能であるかを判断することができます。
増分CPAとは、追加的なマーケティング活動によって新たに獲得される顧客1人あたりのコストを指します。
例えば、あるキャンペーンで100万円を投じて100人の新規顧客を獲得した場合、そのCPAは1万円です。そこに、追加で50万円を投じてさらに30人の顧客を獲得した場合、増分CPAは追加投資50万円を新規獲得30人で割り、約1万6667円になります。この数値は、新たな広告投資の効果を測る指標として重要な意味をもちます。
予算決定のプロセスでは、これらの指標を活用して、効率的かつ効果的な広告キャンペーンを実現するために各メディアチャネルに適切な予算を配分することが求められます。
(3)セールスポイントの分析
効果的なメディアプランを策定するため、製品やサービスのユニークなセールスポイント(USP)を分析しましょう。USPは、競合との差別化を図り、ターゲットオーディエンスに製品の魅力を伝えるためのキーとなります。
USPの分析を通じて、どのような特徴や利点を強調するかを決定し、それを基に広告戦略を策定します。
(4)ターゲットの選定
広告のメインターゲットとなる消費者層を特定することは、メディアプランニングにおいて不可欠な要素です。ターゲットオーディエンスの特性、好み、ニーズ、メディア使用習慣を理解し、それに基づいて適切なメディアチャネルと戦略を選定します。ターゲットオーディエンスに合わせたメディア選択は、広告のリーチと効果を最大化する鍵となります。
ターゲット選定では、性別・年齢・職業・趣味嗜好等をできる限り細かく設定した架空の人物像(ペルソナ)をつくることも必要です。
(5)メッセージの設定
ターゲットオーディエンスが決まったら、あらかじめ分析したUSPをもとに、ターゲットに共感や行動を促す具体的なメッセージングを設定します。
メッセージはターゲットオーディエンスの興味を引き、感情に訴えかけるものであって、メディア属性にもマッチしている必要があります。例えば、屋外広告は視認時間が短いため、短く・インパクトのある訴求が望ましい一方、雑誌広告ならある程度『読ませる』広告も検討できます。
5. OOHにおけるメディアプランニング
以下からは、OOH(Out Of Home)広告におけるメディアプランニングの具体的な手法について解説します。
OOHは、交通広告、施設内広告、大型ビルボードなど様々な種類があり、形式も統一されていないため、他のメディア群と比べても特に精緻なメディアプランニングが必要です。
特に、各メディアの特性を把握し、その特徴を活かすためには専門的な知識と技術が必要となるため、必要に応じてプロの力を借りることが大切です。
- ターゲットの選定とメディア選択
- 商材・サービス・メッセージに合わせたメディア選択
- 広告掲出までのスケジューリング
- 予算とメディアの組み合わせ
- メディア特性を活かしたクリエイティブ製作
(1)ターゲットの選定とメディア選択
まずは、ターゲットオーディエンスの選定と、最適なメディアの選択を行います。
例えば、経営者や役職者をターゲットにする場合にはタクシーや新幹線のグリーン席等のメディアが、年代や性別を絞りつつ広範な訴求を目指す場合には、電車内広告や駅広告、大型ビジョン広告などが効果的です。
また、メディアだけではなく、掲出エリアの絞り込みも必要です。一例を挙げると、東京メトロ銀座線ではビジネスパーソンの利用者が多いため、ビジネス関連の広告に適しています。一方、原宿エリアはF1層(若年女性層)の利用者が多いため、ファッションやライフスタイル関連の商品・サービスの訴求に向いてるでしょう。
ターゲット選定とメディア選択は、OOHにおけるメディアプランニングの出発点ではありますが、独自での比較検討は極めて難しいため、プロの力を借りることをおすすめします。
(2)商材・サービス・メッセージに合わせたメディア選択
OOHのメディアプランニングにおいては、商材やサービス、そしてメッセージに合わせてメディアを選択することが非常に重要な要素です。例えば、広告の目的に合わせ、次のようなメディア選択が考えられます。
- 消費財の訴求:リテール環境や購買前のタッチポイントとなるメディア
- ブランド価値向上:他の広告ノイズが少ないメディア
- セール情報や詳細な情報の告知:視認時間が長く取れるメディア
一方で、商材等によっては、審査により特定のメディアでは掲出できない場合もあります。例えば、オフィスビルでの広告では転職系の広告が不適切とされる場合があり、商業施設では既存テナントと競合する広告が制限される場合があります。
そのためOOHのメディアプランニングにおいては、各メディアの特徴と審査基準を把握しつつ、広告目的や商材等の特徴、メッセージにマッチするメディアを選ばなければなりません。
(3)広告掲出までのスケジューリング
OOH広告では、枠の申込み・デザイン承認・掲出開始までのスケジューリングを管理することも重要です。特に、大規模なビルボードや交通広告の場合、審査に時間がかかることもあるため、キャンペーンのタイミングと同期させるために正確なスケジュール管理が必要となります。
具体的な掲出スケジュールは各メディアによっても異なりますが、おおむね次のスケジュール感でプランを立てましょう。
- エリアジャック・サイネージのロールジャック:掲出4~5ヶ月前
- 看板やシート等の物理的な製作が必要なもの:掲出3ヶ月前
- その他の屋外広告:遅くとも2ヶ月前までの申込みがベター
このように、OOHのメディアプランニングでは、申込みから掲出開始までのタイムラグを意識したスケジュール管理が求められます。
広告掲出を検討した時点で希望時期までに猶予がない場合には、逆に、どういったメディアであれば掲出可能かを逆算して考慮するようにしましょう。
(4)予算とメディアの組み合わせ
OOH広告のリーチと影響力を最大化するために、予算を適切に配分します。
予算をひとつのメディアにのみ割り当て、大規模な広告キャンペーンを打つこともひとつの選択肢ではありますが、先ほど紹介したスリーヒッツ理論に従って、複数メディアに分配することも検討しましょう。
広告接触回数を増やす方法としては、複数のメディアに広告を出稿するメディアミックスが代表的な手法として挙げられます。例えば通勤するビジネスパーソンに訴求したい場合、駅広告・電車内広告・駅前のビル壁面広告を掲出することで、少なくとも3回の広告接触を見込めます。
既にOOH以外の広告を出稿している場合でも、最初のフックとして、インパクトが強いOOHを活用するのもおすすめです(参照:「テレビ×Web×交通広告」の広告効果は「テレビ×Web」の1.12倍【jeki、NRI調査】 – MarkeZine)。
(5)メディア特性を活かしたクリエイティブ製作
OOHのクリエイティブ製作では、各メディアの特性を活かした設計が求められます。具体的には、広告のサイズや面数、視認時間に応じて、インパクトと情報量のバランスを最適化する必要があります。
基本的に、OOHは歩きながら視認されることが多いため、シンプルで直接的なクリエイティブが効果的な場合が多いでしょう。例えば、大きなビジュアル、鮮やかな色彩、完結で魅力的なメッセージを用いることで、ターゲットの目を引き、記憶に残る広告を製作することが可能です。
可能であれば、既存のデザインをそのまま流用するのではなく、メディアの特性を考慮してクリエイティブを一新するようにしましょう。
メディアプランニングはプロのパートナーに依頼しよう
今回は、メディアプランニングに関する基本的な知識や、具体的なステップについて解説しました。
特にOOHのメディアプランニングにおいては、メディア選択(掲出時期も含む)が極めて重要な要素である一方、スケジューリングや審査基準も含めてメディアの特性を判断するためには専門的な知識と経験が必要になります。
そのため、OOHを出稿するにあたっては、できる限り早い段階で、屋外広告のプロに相談することをおすすめします。
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