国内で利用企業が急増している、ノーコードツール「kintone(キントーン)」。サイボウズ株式会社は、そんなキントーンの普及をさらに加速すべく、オリジナル漫画「ホップ☆ステップ きとみちゃん」を活用したユニークなプロモーションを展開しています。(https://kintone.cybozu.co.jp/jp/kitomi/)
Web広告などのオンライン施策にとどまらず、OOH広告にも積極的に出稿することで、これまでリーチしきれなかった層への接触機会を創出。特に電車内窓上広告では、指名検索数が期間中に最大で30倍に伸びるなど、大きな手応えを得ているといいます。
本記事では、サイボウズ株式会社のキントーン マーケティング担当者に、「きとみちゃん」プロモーション施策の全容やOOH広告への取り組み、クリエイティブのこだわりなどを詳しく伺いました。

サイボウズ株式会社 マーケティング本部 プロダクトプロモーション部 kintoneプロモーショングループ渡邉 華子 氏
ノーコードで業務アプリを作れるクラウドサービス
ーはじめに、キントーンの概要と特徴について教えてください。
キントーンは、プログラミング知識がなくてもノーコードで業務のシステム化や効率化を実現する業務アプリを作れるクラウドサービスです。たとえば営業部門なら顧客管理アプリ、総務なら備品管理アプリなど、現場の担当者が「自分たちで欲しい仕組み」を自分たちで簡単に作ることができます。中小企業から大企業まで幅広くご利用いただいており、使い方は本当に多岐にわたっています。
ー競合ノーコードツールとの違いはどんな点ですか?
キントーンはUIが直感的なので、ITやプログラミングが苦手な方でも始めやすい点が特徴です。ほかのノーコード製品を試したものの「現場で使いこなせなかった」という理由で、キントーンに乗り換えるケースも多くあります。
「きとみちゃん」施策の狙い─働く女性に“可愛く”刺さる仕掛け
ーキントーンのプロモーション施策「きとみちゃん」は、どんな狙いから始まったのでしょうか?
キントーンは導入の意思決定に経営者や管理職が関わることが多いですが、一方で「現場からの声」もとても大切です。 導入担当者だけで全てを決めていくわけではないため、現場社員の方が「広告で見たキントーン、すごい良さそうですよ」と、ナイスなアシストをしてくれたら良いなと考えています。
特に働く女性に向けて、「キントーンをもっと身近に感じてほしい」「知っておいてもらえたら将来的な導入の後押しができるかもしれない」という想いがありました。ただしITサービスの機能的な訴求だけだと興味を持ってもらいにくい。そこでオリジナル漫画「ホップ☆ステップ きとみちゃん」を作り、楽しみながらキントーンの魅力を伝える仕掛けにしました。
ー漫画×ITという組み合わせは珍しいですね。
ノーコードやクラウドといった機能訴求だけでは、どうしても身構えてしまう人が多いんですよね。そこでちょっとレトロで大げさな「ナウでおしゃれ」なテイストに振り切り、「これ、面白いかも」と思ってサイトに来ていただけたら、楽しみながら自然にキントーンのことを知れる導線を意図的に設計しました。
オンライン×OOHで認知を拡大─電車広告出稿で指名検索数30倍
ー「きとみちゃん」のプロモーションでは、どのようなメディアを活用しているのでしょうか?
大きく分けると、Web広告、OOH広告、サンプリングの3つです。
Web広告に関してはSNSを中心にターゲットを絞り、できるだけ効率よく「きとみちゃん」の特設サイトに誘導する役割を担っています。
ーそんな中、OOH広告を活用されている理由は何ですか?
Web広告だけではリーチできない層が必ずいる、と考えたからです。加えて、キントーンとしては以前から電車広告に取り組んでおり、「OOH広告を出すと指名検索数やサイトPVが伸びる」という成功体験がありました。今回のきとみちゃん施策のターゲットである「働く女性」は、確実に電車に乗っているということもあり、電車内広告を実施しました。
特にきとみちゃんの漫画クリエイティブは、電車の窓上広告と相性が良いと考えています。手持ち無沙汰な電車の中で広告を見て「なんだこれ?」と思って検索してもらいやすい。KPIにもしていた出稿期間中の指名検索数が未実施時と比較して30倍ほどになることもありました。増分ユーザーのサイト平均滞在時間も6分強と、しっかり漫画を読んで頂いていることやX(旧Twitter)上での投稿の反響もあり、Web広告では得られない投資対効果を実感しています。
ーOOH広告の中でも、具体的にどのようなメディアに出稿されているのでしょうか?
今回のきとみちゃん施策では、主に首都圏と関西の電車の窓上枠を中心に出稿しています。窓上枠の他にも、駅構内の大型ビジョンやドアステッカーなども”チャレンジ枠”としてトライしています。
まず最初は首都圏からスタートしましたが、指名検索数が跳ね上がるなど電車内広告の効果を確認できたので、次に人口が多い関西圏にも出稿を拡大させました。
ーサンプリングではどんな方法を取っているのでしょうか。
「きとみちゃん」の漫画をキラキラとした紙冊子にして、ターゲットが集まる場所での配布を行っています。紙媒体だと、興味のない方でも「可愛い表紙だな」と思って手に取ってもらいやすいですし、写真を撮ってSNSにUPしてくださる方も多くいらっしゃいます。
きとみちゃんのプロモーション自体は2019年から取り組んでいるのですが、まずはWeb広告を安定して効率的に回し、その後2022年頃からOOH広告と並行する形で「認知の裾野を広げる」施策に力を入れています。
ー認知広告としてYouTube広告等も実施している中で、役割が一見重なるOOH広告を実施されている理由はなんですか?
同じ1つのメッセージでも、繰り返し様々な所で見ていただくことで、そのメッセージがやっと伝わると考えているからです。たとえば、通勤電車の中で『きとみちゃん』を見かけて「あれ、これ何だろう?」と気になった方が、その後スマホを見ているときに当社のWeb広告に接触して、さらに興味を持ってくれる……というように、複数の接点で何度も目にすることに意味があると考えています。
OOHはweb広告のような効率性指標で捉えるのではなく、“媒体を増やすことで面を広げる”という考え方で、さまざまなシーンにいるターゲットに繰り返しアプローチできるのが大きいと感じています。
クリエイティブへのこだわり─“埋もれない”インパクトを重視
ー交通広告などOOH施策を成功させる上での重要な要素はどのようなものであると考えますか?
電車広告は他の広告も多数並ぶので、「埋もれないクリエイティブをどう作るか」がすごく大切です。そのため、きとみちゃんのレトロ可愛いビジュアルを大きく配置し、文字情報はなるべく絞っています。文字のサイズや配置を工夫して、遠目からでも何を訴求しているか伝わるかどうか、印刷サイズを実寸で確認したりもしています。
また、本施策ではあえて「キントーンの機能面」よりも「漫画の続きを読みたくなる面白さ」を前面に出しています。お仕事でストレスを抱えている女性にきとみちゃんの広告を見てもらうことで、「きとみちゃんって何だろう」「面白そうな漫画だな、読んでみよう」と興味を持って検索してもらい、漫画を読みながら「自分の仕事上の困りごとやストレスはキントーンで解決できる」と知ってもらいたいというのが、きとみちゃん施策のコンセプトでした。そのため「キントーン」という言葉もあまり使わず、「漫画を読みたくなる」ことに全振りしたクリエイティブにして、ゴール設計をしています。
加えて、「ターゲットが確実にいる場所かどうか」を見極めることも大事だと思っています。私たちも実際、出稿を検討している駅やエリアがあれば、まず現地に行って「本当に狙いたい層が通っているか」を下見します。新宿駅の構内ビジョンや大阪の媒体を選ぶ時も、人通りや実際に見上げている人が多いかなどを確認しました。
ー電車以外のOOHも検討されましたか?
美容室サイネージなども検討しましたが、キントーンは“仕事で使う”システムです。プライベートな場面よりも通勤中の“オンに近い時間”に見てもらうほうがマッチするだろうと判断して、現状は電車広告を中心に展開しています。
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